こんにちは。今回のブログを担当させていただきます新入社員の櫻木です。
- 株式会社山口商会
- 櫻木 仁士
- 2020年6月入社の櫻木です!!
趣味:社会人バスケやってます!!
早速ですが、皆さんHACCPという言葉をご存知でしょうか?
HACCPはハサップ、ハセップとも読みます。
先日、食品関係のお客様向けにHACCPについてのWEBセミナーのご案内をする機会がありました。
私は入社するまでHACCPという言葉を聞いたことがなかったので、その時に初めて耳にした言葉でした。
今回のブログでは、お客様へセミナーのご案内するにあたりHACCPのことについて勉強したことをご紹介いたします。
Study Session
『HACCP(ハサップ)とは』
HACCPとは、“Hazard Analysis and Critical Point”の頭文字をとった語です。
厚生労働省のホームページでは、
「食品等事業者自らが食中毒菌汚染や異物混入等の危害要因(ハザード)を把握した上で、原材料の入荷から製品の出荷に至る全工程の中で、それらの危害要因を除去又は低減させるために特に重要な工程を管理し、製品の安全性を確保しようする衛生管理の手法」
と定義されています。
※HACCPと従来方式との違い(厚生労働省資料「ご存知ですか?HACCP」より)
図のように、従来の衛生管理法では製品が出荷される直前の段階でのみ抜き取り検査をして衛生管理をしていましたが、
HACCPでは原料受け入れから出荷までの全工程を監視・記録することで“衛生管理の見える化“を実現しています。
HACCPの歩みとして、1970年代のアメリカで宇宙食などの食品安全性を確保する方法として開発されました。
現在に至っては、HACCPの衛生管理手法は国際的な衛生管理の基準となっており、既にアメリカを始めとする欧米諸国で食品関連事業者に対して義務化がされています。
日本でも2020年の6月から食品に携わる全ての事業者(食品開発、製造、飲食業者)に対してHACCPに基づく衛生管理が義務化されることが食品衛生法の改正によって決定しました。
義務化の背景として、高齢者の増加による介護施設等へのHACCP導入や、延期になった2021年東京オリンピック・パラリンピックの開催に伴う来国者への食の安全性の確保などが要因となっているみたいです。
それじゃあ今現在の日本の現状はどうなっているのでしょう?
私は日本人は手洗いをしっかりするし、生ものは火を通して殺菌する等、普段から衛生面への注意がされている認識だったのですが、
実は日本のHACCP導入率は約39%と他先進国に比べてHACCP導入が遅れていて、食中毒の件数では年間1000件、患者数は2万もいることにビックリしました。
2万人の患者数はここ数年下げ止まりになっているみたいで、これまでの衛生管理法の仕組みではこれが限界のようです。
ちなみに、今回のHACCP導入義務化で大きく注目したいところが“食品に携わる全ての事業者”ということです。
これは食中毒患者の60%が飲食事業者を通して発症しているのが影響しているからです。
普段、私たちが利用するスーパー、レストランや居酒屋など身近にある全ての飲食店でも義務化になるのです。
来年HACCPが義務化されることで問題視されている食中毒患者数も減少していくのではないかと思います。
Study Session
HACCPのキホン!7原則12手順
HACCP導入のためには、以下に示すコーデックスHACCP7原則12手順を実施していく必要があります。
——ここまでが前準備——
※厚生労働省資料「食品製造における厚生労働省HACCP入門の為の手引書」より)
——ここまでがHACCPの原則——
これからHACCP導入を検討されている方は、厚生労働省のホームページからダウンロードできる、食品等事業者団体が作成した「手引書」を参考にされるのをオススメいたします!
食品事業の各分野(精肉加工、パン製造、アイス製造等)の導入事例が7原則12手順に沿って分かりやすく記載されています。
※詳細はこちらの「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理のための手引書」をご覧下さい。
Study Session
HACCP対策グッズと使用例
HACCP導入に必要なアイテムってどんなものがあるの?
そんな方に見ていただきたいのが「サニーフーズ2020」です!
本カタログではHACCP対策の3本柱となる「菌検査」「異物混入防止」「温湿度管理」について、必要アイテムが多数掲載されています。
そこで宮崎県の飲料会社A社の製造現場で実施されているHACCP対策を例に製品を紹介させていただきます。
【手洗い・消毒】
出社時にクリーン服に着替え、下記工程を毎日実施し記録します。
1.手洗いタイマー
蛍光ローションを手にすり込み、ハンドソープを使って30秒間手洗いを行います。
2.蛍光チェッカーとアルコール消毒
ブラックライトに手をかざし、蛍光の有無を確認します。1.で手洗いが十分にできているかチェックします。チェックをクリアしたらアルコール消毒をします。
3.ローラー
番号が振り分けられた3個の粘着ローラーを使用し、全身の付着物を取っていきます。3本目を使い終わったら紙を交換します。
これらの工程は異物やウイルスを工場に「持ち込まない」という観点から対策されており、“食品等事業者が実施すべき管理運営基準に関する指針(以降ガイドラインと略 )”の第2の6「 食品の取り扱い」に相当します。
【アレルゲン管理】
食品を扱う業者にとって1番厳しく対策されているのがアレルゲンの混入防止です!
A社では飲料の製造工程で、小麦、乳、大豆、エビ等のアレルゲンとなる原料の分別管理を徹底しています。
例えば、
1.原料を保管する冷蔵庫はアレルゲンと一緒にしない
2.アレルゲンを扱う際にはクリーン服と洗浄品を色分けして使用する
乳:赤色 大豆:黄色 小麦:青色 エビ:緑色
A社ではスポンジやブラシの色で扱う食材を分け、色をスポンジやブラシの交換時期の目印にしています。複数の色を使い分けることで、交差汚染や異物混入を防ぎ、安全な商品を消費者のもとへ届けることができます。
食品加工場などで使うブラシやスポンジですが、市販のモノではなく業者向けの衛生管理用を使うのをおススメいたします。
衛生管理用ブラシは、ただのブラシと違い毛が抜けにくい植毛方法が施されており、かつ抜けた毛が発見しやすいよう金属検出器で検出可能なカラーの毛を使用しています。
また、特殊な箇所も清掃できるよう様々な特殊形状に加工されているうえ、耐熱性も高く、耐薬品性のある材質を使っているため煮沸や薬品による消毒ができるといった強みもあります。
3.工具類の員数管理を行い、使用前と使用後の数があっている状態を保つ
A社では使った工具が1つでも見つからなかった場合、数が揃うまで帰れないというルールがあるみたいです。
異物混入のリスクに対して従業員全員が危機感を持って対策されているんですね。
これらの対策もガイドラインの第 2 の 1「一般事項」、2 「施設の衛生管理」、3「 食品取扱設備等の衛生管理」に相当します。
Study Session
『HACCPを学んでみて』
今回、HACCPについて学んだことで、食品1つ造るために入り口の段階で細かい検査を徹底していて、ここまで厳しく行うのはやはりお客様に提供する商品の安心・安全が一番であるために必要なことだと実感しました。
一見、手間がかかりメリットが無いようにみえますが、最近では食品小売り業界大手のイオンリテール社ではHACCP導入により月間122時間の作業を削減した事例もあります。
弊社の強みでもある製品取り扱い数300万点の中にも多数のHACCP対策製品がございます。
完全義務化の来年6月に向けてご協力できるかと思いますので、少しでもお困りごとがございましたら山口商会までお問い合わせください。
最後まで読んで頂き、ありがとう御座いました!